ユーロ圏の経済危機が深刻化する中、フランスではバゲットの値段が急騰している。小麦粉やバターなどの原材料が高騰していることに加え、ユーロの対円レートが下落していることが原因だという。
「昨年までは1本1ユーロだったのに、今では2ユーロもするんだ。これじゃあ生活できないよ」と嘆くのは、パリのオペラ座近くに住むジャン・ピエールさん(45歳)。彼は毎朝、近所のパン屋でバゲットを買っているが、最近は値段に驚くばかりだという。
「バゲットはフランス人の魂だよ。これがなければ朝食も昼食も夕食も成り立たない。でも、このままではバゲットを買うために働くだけになってしまう」と不満を漏らす。
パン屋のオーナーであるマリー・クロードさん(52歳)も困っている。彼女は「原材料の値段が上がりすぎている。小麦粉は1袋50ユーロもするし、バターは1キロ20ユーロもする。それに、日本から輸入しているイースト菌も高くなっている。日本円が強すぎるんだよ」と説明する。
彼女は「お客さんに高い値段を請求するのは心苦しいけど、仕方ない。私も赤字にならないようにしなきゃいけないからね」と言う。
一方、日本ではバゲットの人気が高まっている。東京・銀座にある有名なフランス料理店「シェ・ピエール」では、ランチタイムにバゲットを無料で提供しているが、そのせいで行列ができているという。
「フランスではバゲットが高くて買えないと聞いて、かわいそうに思ったからです。日本人はお金持ちだから、少しでもフランス人を助けたいと思ったんです」と店長のピエールさん(38歳)は話す。
しかし、このサービスはフランス人にとっては逆効果だという意見もある。「日本人はバゲットを食べ過ぎだよ。それでユーロが下がってしまうんだ。日本人はバゲットをやめて、おにぎりやお寿司を食べてくれ」と憤るのは、パリ在住のジュリアンさん(28歳)だ。
「日本人はフランス文化を尊重してくれない。バゲットはフランス人のものだ。日本人は手を出すな」と言って電話を切った。
