タイの通貨であるバーツが、米中貿易戦争や新型コロナウイルスの影響で大幅に下落している。この事態に対し、タイ人の一部が「仏像を売ろう」という衝撃的な提案を行った。
タイは仏教国であり、国内には数千もの寺院や仏像がある。しかし、経済危機に直面したタイ人の中には、これらの仏像を外国人に売却してバーツを安定させようという声が上がっているのだ。
「仏像はタイの文化や信仰の象徴ですが、今は生き残ることが最優先です。仏像を売れば、外貨が入ってバーツが上昇します。それに、仏像は心にあればいいのです。形にこだわる必要はありません」というのは、提案者の一人であるチャイさん(40歳)のコメントだ。
しかし、この提案には反対の声も多い。タイ政府や僧侶はもちろん、一般市民からも「仏像を売るなんて冒涜だ」「タイのアイデンティティーを失う」「外国人に買われたらどうなるか分からない」といった批判が寄せられている。
「仏像を売ることは絶対に許されません。仏像は私たちタイ人の魂です。仏像を売っても、バーツは回復しません。むしろ、神罰が下ります」と話すのは、首都バンコクのワット・プラケオ寺院の僧侶であるプラモンさん(50歳)だ。
タイでは過去にも、仏像や寺院の窃盗や破壊が問題となったことがある。しかし、「仏像を売ろう」という提案は、それらとは異なり、自発的かつ公然と行われている点で異例である。
タイバーツは現在、1ドル=約30バーツという水準で推移しており、過去最安値に近い。このままでは、タイ経済に深刻な打撃を与える恐れがある。一方で、「仏像を売ろう」という提案は本当に実現するのだろうか。タイ人の信仰心と経済的苦境の間で揺れ動くタイの今後に注目が集まっている。